「三宝印」から「世情を捨てる」ことへ。
道元禅師は「世をすて、家をすて、身をすて、心を捨てること」を強調しますが、はて、安泰寺というような叢林ではどうしたら世情を捨てればよいか?

原文:
示して云く、学道の人、世情を捨っべきにっいて、重々の用心あるべし。世をすて家をすて身をすて心を捨っるなり。能々思量すべきなり。世を遁て山林に隠居すれども、吾が重代の家を絶やさず家門親族のことを思うもあり。亦世をものがれ家をもすて、親族境界をも遠離すれども、我が身を思て苦るしからんことをばせじ、病い起るべからん事は仏道なりとも行ぜじと思うも、いまだ身を捨ざるなり。亦身をも惜まず難行苦行すれども、心仏道に入らずして我が心に差うことをば仏道なれどもせじと思うは、心を捨ざるなり。