安泰寺三年目も、残すところ冬安居だけになった。
今年はただ一人の三年目の修行者として、後からやって来た参禅者に諸々のことを伝えていかざるをえない立場になり、そのぶん難しさを感じることも多かった。そのたびに、色々なことを教えてくださった先輩たちや、さらに上の立場からサンガを運営している堂頭さんの苦労を痛感し、自分が受け取ってきたものの大きさにはじめて気づいた。今では、自分が受け取ったものを後から来た人たちに少しでも伝えられたらと思う。偉そうかもしれないが、それが安泰寺への恩返しになればという気持ちだ。

 今年の大きな出来事といえば出家得度を決めたことだ。臘八摂心の後に、得度式を控えている。
といってももともと出家しようと思ってわけでもなく、色々のご縁で得度させていただくことになったという感じで、自分自身でもこの結果に驚いている。
 発心とは、出家とは何か未だによく分かっていない自分がお坊さんになってよいものかどうかという迷いもあるが、その意味はこれから自分で見つけるのでもいいのではないかと思う。

 一体、この道がどこに続いているのか、まったく予想もつかない。私にできることは、それがどんな道であれ、その道のりの一歩一歩をしっかりと踏みしめて歩みつくすことだけだ。