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*帰命* まっさらな自分に立ち返る |
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〜10月号〜 |
![]() | 不景気のなか
でもお寺だけはお金に困らないと思われているのか、最近よくこん
な電話をいただいています。
「ご住職様、どうですか、株の取り引き、やってみませんか 。金の相場も、面白いですよ、もうかりますよ。」 何を勘違 いしているのか、悟らせたいところです。 「ここは山の中の貧乏寺、お金も何もないところです。金が あっても使い道がないくらいです(うそ)。申し訳ありませんが、 お断りします。」 そう答えたくなるが、それではダメです。 「婆子 焼庵」という禅の話があります。 ある老婆は20年の間、一人の修行僧を庵に住まわせ、供養 をしつづけた。そしてある日、その僧が20年間の修行で得た力量 を試そうとして、いつも食事を運んでいた16歳の美少女に言った 。「今度、あのお坊さんに食事を出す時、思い切り体を抱きしめて 、『どう?』と聞いてみなさい」。女の子は言われたとおりにする と、僧はびっくりもせずに「枯れた木が冷たい岩に寄り添っている ようなものだ。すっかり冬になって、なんの暖かさも感じられない 」と応じた。欲望を断ち切っていた修行僧は若い女の誘惑に負けな かった。ところが。それを聞いたお婆さんは大いに怒り、僧を追い 出し、庵まで燃やしてしまったという。 | これは有名
な公案ですが、修行僧のどこが間違っていたのでしょうか。まさか
、誘惑に負けてしまえば、老婆が許すはずがありません。少欲知足
、自分の修行を支えるために必要なもの以上を貪らないのは当然の
はずです。しかし、大乗仏教の修行者なら、自分の欲をどれだけ抑
えられるかというよりも、自分の修行によって人が救われるかどう
かが問題です。僧の態度は潔白でしたので、誘惑には負けませんで
したが、誘惑してきた女の子、それを仕掛けた老婆は救えませんで
した。最初から「救おう」という気持ちはなかったでしょう。
「いかがです、御住職様、株の取り引き、もうかりま すよ」・・・ある日の薬石の時、師匠が電話に応対しました。 「何?君、新入社員か?株の取り引きね、ご苦労さんやな。一生 そんなことをやるつもりか。ほんなら、一度この寺に来てみーひん か?株の話はできひんけど、人生の取り引きなら、承るわ。いやい や、心配せんでええ。いつでも来ーや。」 残念ながら、電 話の相手を寺まで来させることはその時できませんでしたが、相手 の心を狙う気持ちは側で聞いていた弟子たちにも伝わってきました 。 (堂頭) |
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参禅者のひとことふたこ と ** IMPRESSIONS ** | |
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赴粥飯法? (S.S./群馬県/59歳)
第一、私の参禅の動機(典座教訓・赴粥飯法をこの目 で見て体験したい)は一瞬に消え去り、そんなことどうでもよい・ ・・と考えが変わったのです。 坐禅はしんどかったですが、三日目は一番時間の経つ のが早かったように思いました。雑念を払うことの難しさをこんな に実体験したことはありませんでした。人間は一日八万四千の雑念 が湧いてくるそうですが、まさかーと思っていたことが本当だと納 得しました。 作務はどちらかというと好きなことでした。猫の額ほ どの畑をおままごと程度には手伝っているので、体を動かすことは 日常でした。豆の選別、追肥、草刈などとても良い体験でした。あ んなひどい豆を一体どうするのだろう・・・?という疑問も鶏の餌 にすると聞いて、心から納得、「ここでは本当に“いのち”の循環 がとても自然に無理なく回っているのだ」と感動しました。我が家 の畑のコンポスターなど全く自慢になるどころではないなーと恐れ 入りました。 私は来年3月で現在の職場を退職しますが、短大勤務 の最後の夏休みをこのような体験をさせていただいて、本当にここ ろから嬉しいです。上手く言えませんが、私の心のふるさとが出来 たような、安泰寺のことを想うと懐かしさがふーっと沸いてくるく るようです。 |
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クマちゃんのつぶやき** ![]() |
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どうもーごきげにかがですか。いやー 安泰寺に来て4ヶ月がたってしまいました。無常迅速ですねー。そ れにても無という言葉が禅字でよく使われますが、最後に無とか無 我をもってくればすべて済んでしまうような、無はこまりものだよ ね!!結局何も無いととらえて使う人もいれば、無=空という性質を もっている無限、限界が無いという人もいます。日本の「ありがた や」式の 風土には限界がない無の方向が好きですね。だけど結局自分で限界を作ってい る。快楽と苦痛が根源的に一緒なら両方に価値を あたえない元気がいい。坐禅がおしん状態ではなく楽しみの一つで ありたいですね。今年の冬は雪が降る前にイノシシ狩りをしたいの で野性の血がさわぐ人はぜひ参禅来てねー。それじゃーチャオピー (熊谷) |