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> 正しい坐り方17 (大人の修行・その37) |
「可能であれば、足の指先が実際に太腿の外側まで来るように、工夫した方がいいと思います。そうすれば、両膝と尾てい骨は正三角形の形になり、一番安定した姿勢で坐禅が組めます。そして、身体の姿勢が安定をすれば、心も安定してきます。足をそこまで組めない人はもちろん、組める範囲で組んでもらえば結構ですが、その気になって徐々に工夫をすれば、少しずつ形通りの結跏趺坐あるいは半跏趺坐は組めるようになると思います。」と、7月号で書きました。 これに対して、「正しい姿勢で坐ることの重要性は分かるが、身体の凝り固まった私たちが結跏趺坐あるいは半跏趺坐を正しく組むためには、『くふう、くふう』といわれても、具体的にはどういう工夫をすればいいでしょうか」というご意見を数名の読者からいただきました。ある方から徐々に結跏趺坐が組めるためのヨガ体操が書かれているサイトへのリンクも送っていただきました(http://zenmontpellier.site.voila.fr/eng/lotus/lotuseng.html・英語)。
真向法協会のホームページによりますと、これらの四つの体操を1933年に最初に創案したのは長井津(わたる)という人です。大病をし、「身心共に奈落の底に突き落とされたような状態で・・・せめて心だけでも救われたい」と仏教に帰依しました。仏典の中にでてくる、仏弟子の釈尊に対するくだりに触れて、その「礼拝」を毎日朝晩続けたようです。そして、その「礼拝」のおかげで健康を取り戻したそうです。仏弟子の行う礼拝はいつどうして真向法の体操に変形したかは存じませんが、自分以外にも病気で苦しんでいる人々にその方法を伝えたくて、長井さんは「特に終戦直後は敗戦で打ちひしがれた日本人を激励するために、東京駅や大阪駅の駅頭で莚を敷いて、通り行く人々に真向法を勧められました」。出発点は仏典における礼拝ですし、その名称も「物事に対して真っ向に取り組む」とか、「人生をひた向き無心に生きる」という意味を含んでいるそうですが、真向法協会は自ら「宗教とは全く関係ありません」と主張し、むしろ純然たる健康法、特に腰痛に効くストレッチングを目指しているようです。 なぜか、西洋で紹介されている真向法は古代中国の五行思想や東洋医学の経絡と関連づけられ、体操の数も五つから七つまであります。その効果は、腰痛よりも内蔵に聞くとされ、創案者も長井津ではなく、増永静人(1925年〜1981年、指圧師)となっています。ドイツゴによる紹介ではhttp://members.chello.at/reni/uebungen/default.htmとかhttp://www.shiatsu-austria.at/einfuehrung/einfuehrung_49.htmがあります(イラスト付き)。 また、YouTubeにも「Makko Ho」が紹介されています。下のビデオのアメリカ人は最初、「Makko Ho」はベトナムから来た、ヨガと東洋医学を会わせてできたものだといい、少し後になってからやはり「マスナガシズト」が使ったものだと言っていますが、体操自体が知られている割りには、その歴史に関する情報はかなりデタラメです。
また、ドイツの読者から以下のイラストを送っていただきました。自分がかかっているお医者さんから、座禅が組みやすくなるために教えてもらった三つの体操だそうですが、その一番目と二番目はやはり真向法から取ったものと思われます。
(続く・・・堂頭)
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