流転海47号

安泰寺文集・平成22年度


雅恵 (安泰寺・鳥取県出身・産婆さん・43歳)


ここ安泰寺は私が退職して1年半、モヤモヤとこころの奥底で感じ、求めていたものと一致した。自給的生活が人本来の生き方なのではないか、ただ働いて現金を得、消費していくという生活に疑問を持ち退職したが、具体的な生活について実践できる環境も知識も技術もなく悶々と過ごしていた。

この一年半は有機農場や田舎暮らしの体験後、何か物足りなさを感じ今年に入り歩きお遍路を結願、3ヶ月の宿坊でのお手伝い、断食やヴィパッサナー瞑想体験後、ここ安泰寺にたどりついた。

禅の教えと教えに基づいて実践される自給自足の生活に、今の私の心に何の疑問も曇りもなく、五月晴れのような爽快感がある。

約3週間の滞在中にこのように感じ約1年間の滞在を決めた。

安泰寺での座禅と作務の毎日、そして半数以上が外国人で日本語ではなく英語、時にドイツ語が飛び交う僧堂内で、日本に居ながらにして海外ホームステイと言った感じで、中学生レベル(と言っても一年生レベルかもしれないが;)の英語である私にはそれこそ大きな修行である。そして外国人と日本人との価値観、習慣の違いは様々な物の見方があることを学ぶ大切な機会となっている。

この一ヶ月は畑の担当、典座役割などの責任を持つことになり、淡々としつつも一生懸命に全力で何とか全うしている。

『ここでの坐禅や作務などは生活の一部分として行われているのではなく、むしろ一日二十四時間の生活は生きた禅の現れでなければなりません』『安泰寺は自分自身の人生を菩薩修行として創造していく場所に他なりません』という参禅者心得をじっくりと体験し理解してみたいと思う。また禅の教えを学び、生きるための手段、糧としての自給自足生活を実践的に学んでいきたい。

私の大切にしている『感謝のこころで丁寧に生き、静かに内なる声に耳を傾けて』という言葉とともに・・・


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