野口瑞希
3.26
荷物を背負って雪山登山。滑り落ちたら死ぬ。猪の白骨がおもむろに山道に転がっていてびびる。懐かしいメンバーとの再会。安泰寺に戻ってきたのだ。
4.1
五日攝心初日。すごいのが始まってしまった。終わりがみえない。大丈夫だろうか。
4.2
二日目。早くも一人脱落。こちらも足腰の痛みはすでに限界。実家のお風呂の幻覚を見る。気持ち良い。なのに現実は。夜明け前と、日没後が本当に寒い。
4.3
三日目。雑念があらぬ方向に。こんなところで苦しい思いして何してるんだろう→急な孤独感→過去の記憶のフラッシュバック→楽しかったこと→悲しかったこと→生きてるって苦しい→でもがんばって生きて行こう→ああでも死ぬんだ。坐しつつ4時間ほど号泣。で、ようやく気づく。これは魔境だ。
4.4
四日目。なんだか吹っ切れて、心持ちとしては前日が嘘の様。座り方のコツもつかんでくる。足腰に負担をかけないことを念頭に置く。
4.5
五日目。なんだもう終わりか。まだいけるぞこのやろう。
4.11
永平寺で3年修行したという雲水さんが参禅。永平寺仕込みの所作にほれぼれする。合掌の仕方。応量器の扱い方。扉を開ける前の「失礼します」など。
4.13
野菜の種まき。食に直結する作業はやけに楽しい。楽しいと反省を忘れるし、初心も忘れる。二人の先輩雲水が喧嘩。
4.15
下界の食料がたくさん振る舞われるパーティ。美味しい、もっと食べたい。お酒を飲もうとしたら、お前は飲むなと言われた。冗談とはいえそう見られてるということだ。なるほど、煩悩に負けたと思われるような行為は慎まねばならない。
4.18
夕方から雨。寒い。びしょびしょになりながら道具を洗う。作業から帰ってくる皆のために勝手にタオルを振る舞うも案の定Dに怒られる。タオルを片付けているDのところにいき謝罪。しかしもう怒っていないどころか目には涙が浮かんでいるようにも見えた。夜坐の後、呼び止められ謝られた。先日の喧嘩事件以来Dは揺れている。これこそが生きる苦であり、この苦こそが修行の原動力だ。
4.29
Dが安泰寺を離れると言い出す。
5.1
五日攝心。やっと静かな日々が始まるのだ。まず5時間。多少の眠気。体は好調。まだどこも痛くない。が集中には及ばず。朝食後一名逃亡。1時間考えて決意。彼を追いかける。もう安泰寺には戻れないかもしれない。数日は探しまわると覚悟していたが、二つ先のバス停で発見。二人で歩きながらあれこれ話す。途中地元のおじさんに話しかけられる。「腹でも痛いのか?」いいえ、人生に悩んでいるんです。何を悩むことがあるんだとバナナとせんべいと干し柿をくれた。おじさんはおやつを全部くれたのだ。おじさんの排水溝掃除を手伝ったらお礼を言われた。お礼を言うのはこっちだ。おじさんのおかげで彼は攝心に戻ることを決意。二人で安泰寺に戻る。みんな心配してくれていた。Dも嬉しそうによくやったと褒めてくれた。薬石はおからボロネーゼだったらしい。食べたかった。
5.2
筋肉痛。
5.5
まだ行けるぞ。結局彼は旅にでた。置き手紙を残して。
5.9
またDが出て行くと言い出す。安泰寺を出るなら袈裟も脱ぐと。あほか。
5.14
天気がよろしい。
5.18
田植え。
5.24
輪講。台本作る。予定調和でつまらない。風邪っぽい。
5.25
攝心。風邪をひく。頭がぼーっとしたまんま坐ってたら、すぐ10時間終わった。
6.1
仕事のため一旦東京へ。
8.9
仕事終了。
8.10
始発で安泰寺へ。薬石前に到着。また来てしまった。緑が多い。
8.13
佐世保でお盆。
8.18
畑作業。炎天下。頭がクラクラする。
10.10
地元の運動会に参戦。参加賞をもらう。
10.21
片足をなくしたカマドウマが、排水溝に詰まってもがいていた。ので救出し外に逃がす。も、猫に見つかる。ぺろりと食いやがった。
10.23
消防訓練。ポンプを動かし、ホースを持って、水をまく。