流転海08

安泰寺文集・平成20年度


佐織   (岡山県・26才・http://sencafe.exblog.jp/


 合氣道?柔道みたいな感じかな。あまり興味ないけど・・・

 大学生のときに、有機農業を学ぶために滞在させてもらった農家の方が合氣道を地域の人に教えているので、見学しないかと誘ってくれた。あまり興味はないけど、どんな武道なのか見てみようか、という思いで見学させてもらうことにした。地域の子供4・5人と大人も4・5人のこじんまりとしたクラスだ。立つ姿勢、前回り、後ろ回り、腕を回すなど、体操クラスのような感じで、武道のようには見えなかった。子供たちも楽しそうに遊んでいる様子。農家の方に合氣道のビデオを見せてもらったが、氣で身体を治すだとか、なんかインチキくさいなあ。だけど、農家の方がこれほど熱心に語られるのだから、何かあるのかな。

 大学で調べてみると、なんと、うちの大学にも合氣道のクラブがあった!せっかくだから見学だけでもしてみよう。なんと、先生は「トム」というでっかいアメリカ人。メンバーもカナダ人、インドネシア人、アメリカ人など、外国人が多く国際色豊かなクラブだ。

 そんなところから合氣道に出会い、合氣道部には大学4年になってから入部した。半年間の短い期間で合氣道の魅力にとりつかれてしまった。大学卒業後はベトナムでベトナム人から合氣道を学んだ。そして現在は岡山で合氣道を学んでいる。念願の初段をいただいて、少しずつ伝える立場になっている。

 大阪の合氣道講習会に参加した際、私と同じ年齢の2人に出会った。1人は大阪の人、もう一人はニュージーランドの人。すぐに友達になって一緒に練習した。他にも、ベトナムに8年住んでいたフランスの人や、ロシアで合氣道を教えている人、共通点が見つかるとなお嬉しくて技の交流もいっそう楽しくなる。職業も、国籍も、年齢も、言語も関係なく同じ畳の上で氣と氣、心と心の通い合いができる合氣道のすばらしさを身をもって感じた。

 世界中で、同じ目標を持ってたくさんの人が学んでいる。合氣道はたんなる武道でもなくスポーツでもない。そこには、言葉だけでは語れない何かがある。合氣道との出会いは人それぞれだが、ともに氣を学び、氣を合わせる。相手の氣と自分の氣とが合って、同じ方向に行くときの感動は忘れられない。すばらしい出会いと機会を与えてくれる合氣道をより多くの人に伝えていければと思っている。

平成20年10月22日


Switch to English Switch to French Switch to German Switch to Spanish