人生の意味を一口で聞きたい人へ

内山興正著

この問いを世間の人達に問えば、大概の人は「そんなこと分かるもんか」と言うでしょう。稀に「人生の意未とは・・・」と得々と語り出す人がいるとすれば、延々と長談議しながら結局、話している人自身が何を言っているのか分からなくなるような話をするのではないでしょうか。今、「人生の意味を一口で聞きたい」という問いは、まさにそういう長談議を聞き飽きた上での問いなのだと思います。そういうつもりでズバリ一口に言うことに致します。

われわれ皆、生きている限り、誰でもカケガエのない自分を生きています。決して世間相場的に入れ替えのきく人間価値を生きるのではありません。何処までも「自己の存在価値」を「自己においてもちつつ」生きるのです。

われわれとしては、この何処までもカケガエのない自分を生きている「当の本人」に立ち帰りつつ生きるべきです。修行ということも、このカケガエのない自分、「自分の存在価値を自己にもつ深さ」こそを修行するのです。人生の意味とは一口に言ったらそういうことです。重ねて言いますが、自己の存在価値は何処までも、決して外部的世間相場で決められるものではありません。