ネルケ無方は安泰寺の九代目の堂頭でした。

堂頭は1968年のドイツ生まれです。16才の時、高校のサークルで坐禅と出合い、将来禅僧になることを夢見始めました。その準備のために大学で哲学と日本学を専攻し、在学中に一年間日本で留学しました。その時初めて安泰寺に上山し、半年間の修行体験を得ます。帰国後に大学を修士課程で卒業し、再び安泰寺に入門。1993年、八代目の堂頭である宮浦信雄老師の弟子となります。

まず2年間、雲水として安泰寺で修行してから、1995年から京都の東福寺と小浜の発心寺と言った専門僧堂にもそれぞれ一年間掛搭します。1997年は安泰寺に帰山し、さらに4年間のあいだ師匠のもとで修行してから法を嗣ぎます。

33才のとき、独立した禅道場を開くために、下山して大阪城公園で「流転会」と称してホームレス雲水生活を開始します。その6ヶ月後、2002年の2月に師匠の訃報を聞き、テントをたたみ山に戻ります。大阪で知り合った女性と結婚をし、3人の子供の父親でもあります。

2002年から2020年まで再び安泰寺では雲水とともに生活をしながら、長年の弟子である中村恵光尼にバトンタッチするまで国の内外の参禅者の指導をしていました。今は大阪を拠点に講演活動や坐禅指導も行っており、また2011年の「迷える者の禅修行」をはじめ、多くの著書を世に問うています。