書評の要約:「読んで損のない一冊。『法然を生かすためには、法然を殺さなければならない』という指摘はまさにその通り。しかし、その前には『なぜ法然を?』という疑問に答えなければならないはず。その明解は、ここにはない。今のままでは浄土宗の檀信徒向け、『お釈迦さまあっての法然さま』というお説教で終わっている。最後に書き足した感じの付録にさらに加筆し、本のメインにしておけば、一般の読者にとっても充実した著書になっていたかもしれない。残念ながら、ここには仏を殺し、常識を覆すような話は出てこない。それどころか、『ゼロから一を開いた』という法然の偉大さすらもう一つはっきり見えてこない」