FernOst Antaiji
ドイツのテレビ番組の一部。2013年の春に撮影。
ダム掃除、2013年11月24日
安泰寺では毎年すくなくとも2回、山にあるダムを掃除をしに行きます。今年は3月の末と9月に既に掃除を行いましたが、冬期の前にもう一度台風の影響で流れ込んだ土砂や秋の落ち葉を洗い流すために、二人の小学生を連れてダムに行きました。
安泰寺の生活水はここから引いているので、デッキブラシでまんべんなくきれいにしたいものです。途中で排水口が詰まることがしょっちゅうありますが、パイプでゴシゴシ掃除をしながら土砂を流すのがダム掃除のコツです。
途中の道で子供たちは仲良く一個の柿を食べ、その種をどれだけ遠くまで吐き飛ばせるかを争っていました。
2年ぶりの大船渡市・陸前高田市、2013年11月22日
柏陽一郎さんと知り合ったのは、やく二十年前のこと。当時、関東地方で托鉢に出かけていた私と、上野動物園で擬岩デザイナーの仕事をしていた柏さんはたまたま同じ宿に泊まっていました。それは山谷の泪橋の近くにある、ふだん日雇いが利用する安宿でした。その宿の最上階にあった大浴場で、朝風呂に入りながら柏さんとふたりで富士山を眺めていたことを今も鮮明に覚えています。私が安泰寺に帰山、柏さんが故郷の三陸に帰った後も、手紙のやり取りをしたり、安泰寺の文集に投稿してもらったりして連絡をとりあったりしていました。
2011年の3月11日、私もテレビの画面に釘付けになっていました。そこには、柏さんが住んでいる大船渡市の中心街が津波に呑み込まれている映像が映りだされていました。柏さんは幸いにも逃げ切れましたが、家は今も復旧していません。家のあったところで、2メートルの土が盛られ、高台の住宅街が建つ予定だそうですが、実現まではまだまだ時間がかかりそうです。5メートルの高さの防潮堤はあの震災で壊れてしまい、そのままです。その手前では、いっけん工業団地の建設現場とも思われる場所があります。そこには新たな防潮堤が作られ、その高さはなんと11メートルだとか。大船渡市に隣接している陸前高田市では、がれきはほとんど片付いているものの、街はいまだに2011年に見ていた時にほぼ近い状態です。こちらはさらに高く盛土する予定だそうです。実際に、土砂の山はあちらこちらに積まれています。こちらもあたらしい防潮堤は建設中ですが、高さは大船渡市のそれより更に高く、17メートルだそうです。
「元の状態に戻したい」という気持ちは分かります。ですが、人間の考えていることはあまりにも変わっていなすぎる気もします。港にいくらコンクリートを流し込んだところで、人間が自然に勝てるはずはありません。