摩訶般若波羅蜜多心経―大いなる心の手放し方

観自在菩薩・行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄。
―観自在という菩薩が、完全な思いの手放し(般若波羅蜜多)を実践していた時、はっきりと見てとった:
五蘊(色・受・想・行・識)がすべて空であることを。そうして彼は一切の悩み苦しみから自由になった。

舎利子。色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。受・想・行・識亦復如是。
―菩薩は言った:「舎利子よ、あなたのその生身(色)の他には、命(空)はない。命(空)とは別に、あなたの生身(色)はない。命はあなたの生身に現れ、その生身こそ永遠の命を生きているのだ。同じことはそのまま、見るもの聞くもの(受)についても、思うこと(想)についても、反応すること(行)についても、また、あなたの世界そのもの(識)についても、いえるのだ」

六波羅蜜(ろくはらみつ)
1)布施波羅蜜 – 檀那(だんな) 2)持戒(淨戒)波羅蜜 – 尸羅(しら)
3)忍辱(安忍)波羅蜜 – 羼提(せんだい) 4)精進波羅蜜 – 毘梨耶(びりや)
5)禅定(静慮)波羅蜜 – 禅那(ぜんな) 6)智慧波羅蜜 – 般若(はんにゃ)

五蘊(ごうん)
1)色蘊(しきうん) – 見るもの、聞くものを… 2)受蘊(じゅうん) – 実際に見たり聞いたりして…
3)想蘊(そううん) – 言葉で捉え… 4)行蘊(ぎょううん)- 無意識に反応し…
5)識蘊(しきうん) – 「この私は、あれがほしい、これが嫌い!」と思う。

白隠禅師坐禅和讃:衆生本来仏なり 水と氷のごとくにて 水を離れて氷なく 衆生の外に仏なし 衆生近きを知らずして 遠く求むるはかなさよ たとえば水の中に居て 渇を叫ぶがごとくなり 長者の家の子となりて 貧里に迷うに異ならず…

色 即 是 空、     空 即 是 色。
私は命に生かされて生き、 この命を私が生かせて生きている。
色 → 氷 ・ 衆生 ・ 生死 ・ 私 ・ する      
空 → 水 ・ 仏  ・ 涅槃 ・ 命 ・ させていただく

故知、般若波羅蜜多、是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪、能除一切苦、真実不虚。
―さて、今から力強い掛け声を聞かそう。私の声に合わせて、あなたも仏・菩薩の仲間として、自分を手放してみよ。自分を忘れてこそ、初めて苦しみから自由になれるのだ」

故説、般若波羅蜜多呪。即説呪曰、羯諦羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶。
―掛け声はこうだ:「ぎゃーてい、ぎゃーてい、はーらーぎゃてい、はらそーぎゃーてい、ぼーじーそわか」

般若心経―以上は、心の手放しのレシピだ。