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雪安居の風景、2015年1月28日

書評:「池上彰と考える、仏教って何ですか」「アップデートする仏教」「哲おじさんと学くん」、2015年1月22日

新しい写真をアップ、2015年1月20日

写真集に三つの新しいアルバムをアップロードしました:

安泰寺の木樵たち
『安泰寺で朝食を』
安泰寺の「禅ガーデン」

迷いは悟りの第一歩、2015年1月15日

迷いは悟りの第一歩

迷いは悟りの第一歩

私には二つの名前がある:「ネルケ・イエンス・オラフ・クリスティアン」と「ネルケ無方」。
前者はドイツ人である私の「クリスチャン・ネーム」。多くの欧米人と同様、私は幼い頃に洗礼を受けてクリスチャンになりました。一方、「無方」という僧名には「一切の方角に開かれている、とらわれのないありさま」という意味がある。二つの名前が象徴するように、私はキリスト教の国に生まれ、クリスチャンとして育ちましたが、現在は安泰寺の住職を務めています。
・・・「無常・無我」を悟る仏教と、神を愛し、隣人を愛せよというキリスト教・・・
『仏教よ、君にはまだ愛が足りないよ』、その声はひょっとして、私の内なる「クリスティアン」。そこには、「無方」も黙ってはいられない:『愛が足りないのは、あなたこそでしょう!』
他人事だと思っても、この本で展開されている私の内なる夫婦喧嘩に付き合って頂き、日本人の読者の宗教観を考えるきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。

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万事休息、2014年12月14日

今年最後の「安泰寺たより」になります:

2015年1月出発予定の『迷いは悟りの第一歩』の「あとがき」より:

「今の私が考えている〝恋と愛の仏教″の表現――。
それは安泰寺の修行生活が、単なる浮世離れした「仙人ごっこ」ではなく、共生の小モデルとなることです。また同時に、それが日本と世界の交流に少しでも寄与すればと願っています。
いまさらいう必要もないと思いますが、私は日本のことが好きです。それは日本の豊かな自然が好きだとか、その四季が好きだというくらいのことではありません。ましてやお寿司とお酒が好きだ、という意味ではないし、漫画やアニメが好きだからに日本に来たわけではありません。私が日本に来た理由は、禅が好きだからです。それから日本人の心もとても好きです。
 私は今まであれこれ日本や日本人にたいして批判めいたことを書いているのも事実です。それは決して日本が嫌いだから書いているのではありません。嫌いであれば、もうとっく特にドイツに帰っていると思います。
日本仏教についても、同じことがいえます。日本の仏教が好きだからこそ、日本で仏教徒になったのです。今年で四六歳になりました。人生の半分、二十三年間を日本で過ごしています。坐禅と最初に出会ったのは十六歳の時ですから、その付き合いはもう三〇年ということになります。仏教と私はいわば、熟年夫婦のようなものです。
一方のキリスト教は、私にとって産みの母でもあり、初恋の相手のようなものでもあります。一度捨てたはずのキリスト教が再び恋しくなったのは、そのためかもしれません。キリスト教は恋と愛の宗教であり、そこには、「神の国を自分たちの手で作ろう」という〝夢″も感じるのです。
だからというわけではありませんが、最近の私が叫びたくなるときがあるのです。
 「仏教よ、君にはまだ愛が足りないよ」」
 それは私の内なる「クリスティアン」の声でしょう。そこには、「無方」なる私も黙ってはいられない。
「愛が足りないのは、あなたこそでしょう」
 この本はある意味、ネルケ・イエンス・オラフ・クリスティアンとネルケ無方の格闘のようなものです。最初は他人事だと思っても、私の内なる夫婦喧嘩にしばらくのあいだ付き合って頂ければ幸いです。読者にとっても、自らの宗教観を考えるきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。
 この本を読んで、私の修行の実体験に興味を持ち始めた方がいれば、二〇一一年に発行されたデビュー作『迷える者の禅修行』をお勧めいたします。その中で書ききれなかった《論》は本書の内容です。信じてもらえないかもしれませんが、二時間で読めそうなこの一冊に、私は『迷える者…』の出版からずっと手をかけていたのです。難産を救ってくださったのが、デビュー作も可能にした新潮新書の体育系編集者、金寿煥の愛と力の入ったご鞭撻です。最後になりましたが、お念仏とともにひれ伏して御礼申し上げます。」

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迷いは悟りの第一歩: 日本人のための宗教論

臘八摂心の大詰め、2014年12月7日

昨日は雷と大雪、日中は停電。ブルドーザーもガス欠のため、山中で足止めを食らった。
そして今日はいよいよ、摂心の大詰め。
だが、住職は鶴見大学の成道会に参加するため、一人で下山。
バス停からの4キロの道程に除雪車は入らないため、寺の子どもたちはしばらく学校に行けそうにない。
一足早いクリスマス休み?それとも、「成道休み」?

これからだ・・・、2014年12月5日

臘八摂心前の座布団干し、2014年11月30日

明日からは、今年最後の大摂心である「臘八」が始まります。
二五〇〇年前に、釈尊は12月8日の未明、明けの明星をご覧になって悟りを開いたと言われています。
それにちなんで、12月の1日から7日の深夜まで摂心を行い、日付けが変わったところで「成道会【じょうどうえ】」すなわち釈尊の示された解脱を記念します。

安泰寺の薪ストーブに初めて火を灯すのは、この摂心が終わってからです。7日間本堂の中で身を切るような寒さに耐えた修行僧たちは、8日の明けの明星が昇る頃には、ストーブの横で寝転がっていることも珍しくありません。

成道会の後の作務としては、人参や白菜の収穫と貯蔵、そして味噌作りだけが残っています。
住職は、安泰寺の成道会が終わるなり、横浜にある鶴見大学の成道会に参加するために、すぐ鳥取空港に向かって出発します。
鶴見大学で講演をしたあと、能登半島にある龍昌寺の勉強会に飛んで、10日からは東京に行われる曹洞宗の師家養成所でも講師をつとめます。そして11日には南青山のヨガ・スタジオvedaで三回目のワークショップをします。テーマは『正信—蓮華座と長く付き合うためには』。
(住職のスケジュールの詳細はイベントページにあります)。

12月15日から「結制安居」が始まります。3月15日まで雪にこもって、坐禅と仏典の参究に打ち込みます。今年の勉強のテーマは「ダンマパダ(法句経)」です。各々の修行者が輪講の講師となり、お経の言葉を毎日の生活に照らし合わし、また自らの生活をお経に照らし合わせて、ディスカッションに挑みます。

「結制安居」の大イベントといえば、「法戦式」です。修行僧たちは叢林のキャプテンともいえる首座【しゅそ】に問答を仕掛け、迫力のある仏法の戦いが始まります。それまであと三ヶ月ありますが、今のうちに武器を磨こう!

晩秋の安泰寺、2014年11月28日

安泰寺文集、2014年11月16日